「?」
朝食の用意されたテーブルには、置き手紙と封筒が置かれている。
青年は手紙を手に取りゆっくりとイスに座り、手紙を読みながら朝食のサンドイッチをほうばる、サンドイッチに入ってる崩されたゆで卵の味が口の中に広がっていく、黙々と食し黙々と手紙を読む、手紙の内容は、今日は帰らないという姉からの簡単な伝言であった。
「今日は帰んないってかい。まったく何やってんだか」
青年は文句をいいながら、封筒を開ける中には三万円入っていた、朝食をすませ洗面台に向かう、鏡に映るボサボサのセミロングの茶髪、ほりの深いやる気のない瞳、青年を映し出す鏡は容姿だけで無く覇気の無さまで映し出していた。
「今日も元気のない顔だな。」
鏡に映る自分に話しかけるが虚しさが空を舞う。
数分後、彼は学校に向かうため家を後にする。
空は晴れているが風は冷たい、紅葉が、風が吹く度に舞い落ちる並木道いつもと変わらない通学路、何も考えずに歩き続ける。
「おい、お前が木柳 雪か?」
青年の前にサングラスをかけた体格のいい男が現れ道を阻むように立ち尽くす。
「……」
青年は無言で男の横を過ぎ去ろうとするが、男が肩を掴み歩みを止める。
「おいおい、無視するなよ。せっかく遠いところから、わざわざ来てやったてぇのによ。」
「何か用?あんた俺の事知ってるみたいだけど、俺はあんたの事何か知らない。」
青年の目には殺気がこもり男を威圧する。
「ふん。力が使えないくせに、いいガンを飛ばすじゃねぇか。」
男の目から殺気が放たれる、辺りを痺れるような空気が立ち込める。「とりあえず力試しをさせてもらおうか。」