「お…父さんッ!やめ…て!お母…さ…助けて…!」
「黙れ!くそガキめが!」
「あなた!だめよ。やめて!」
「うるさい黙れ!」
今日もまた達夫の罵倒、暴力、虐待がはじまった。
「お父…さん…。げほッ。ごめ…なさい…。許…して…。」
「黙れ!」
達夫は娘の由希子を蹴り続ける。
「ごめ…なさ…ごめ…ご…めんな…い…。」
「喋るな!」
「ごめ…な…さ…。」
達夫は由希子の髪の毛を掴み、壁に押し付ける。
これといった理由はない。
離婚届けに判を押してくれない。
訴えようにもお金がない。
達夫は働かない。
ただただ毎日由希子を殴り続け、蹴り続ける。
「ごめ…。お父…。やめ…。」
「口答えするな!」
「あなた!由希子が何をしたというの?」
「うるさい!」
由希子の精神は、限界に達していた。
紗智子は母親として、このまま見てるわけにはいかない。
「もうやめて−−」
紗智子は狂ったように叫ぶと、達夫の背中に包丁を突き刺した。