俺がシャワーを浴び、バスローブのまま香里の部屋のベットサイドに戻ると、くすくすと笑うではないか・・・
「なに笑ってんの?」
と俺が聞くと
「襲われたのかもと思って、桜井君に」
といたずらっぽく香里は言ってきた。
シャワーつきのユニットバスは香里の部屋のすぐ隣だから、エコーが聞いていたのだろう。
「そんなわけないだろー」
「だって、悲鳴が聞こえたような気がしたからよ、気のせいならいいんだけど〜」
と完全に面白がっている
「俺が桜井に襲われてもいいわけ?香里は・・・」
聞こえてたのかよ〜内心はあせりまくっていた。
「聞こえた気がしただけよ、それに、そうなったとしても私は助けに行けませんからね〜襲われるままになっちゃうわよ〜」
「なっっっっっっっなに言ってんだよ〜冗談はやめてくれー」
とどもってしまうと
「そんなにあせるとますます怪しいな〜一樹はどうかは知らないけど、桜井君はかなり本気よ〜気をつけた方がいいわね〜」
「香里〜俺はノーマルだぞ〜奴と一緒にするなよ〜」
と返すしかなく
「そう?でも内容は聞こえちゃったー聞くつもりはなかったんだけど、桜井君声大きいから・・・将来の誓いですか、いい友人じゃない、本気なのよ桜井君は・・・で、何悲鳴上げたの?」
と香里は覗き込んで、目をキラキラさせて、期待に満ちた目をしている。
「だから、何もないよ〜ただいつもみたいに、あいさつ代わりに抱き付かれたんだよー」
「それだけなの?なんだー悲鳴上げることないじゃないー」
とくすくす笑っている。
「あせるだろー普通、しかも裸なんだぞ〜」
俺が泣きそうになると、香里は俺の頭をなでて
「よしよし、びっくりしたのね〜一樹〜赤くなってかわいいのね。だから桜井君がちょっかい出したくなるのよ、大丈夫よ彼のあいさつなんだから、それ以上のことはしないわよ。」
と慰めてくれた。俺はかなりのダメージで、当分悩まされそうだと思っていた。
確かに協力者としていてくれるのは嬉しいが、時々あの俺へのラブコールに参ってしまうのだ、確かにどこでも平気で嬉しいと抱きつくのだから、深い意味はないのかもしれないが、やっぱり襲われるかもしれない恐怖心は、ゾッとして鳥肌が立った。