ブゥンッーードカァーン。「わわわっ」
慌ててバックステッブをして販売人の腕をかわす。
振り下ろされた腕はコンクリートを粉々にしていた。「………あっっ！」
いきなり頭を抱えながらうずくまる。そして……
「お金入れっぱなしだぁぁっっ！…しまぁったぁ…」ブゥンッ。
「おわっと」
再び腕が頭上を掠める。
「こ〜なったら…」
ばさりっとコートをなびかせて後ろの黒い塊を抜き放つ。
「これでやっつけてやるぅぅ」
まるで小さな子供のようにブンブン腕を振り回す裕太の腕には、警備員が持つような警棒が握られている。パチッと柄に付けられたスイッチを押すと、グンッと警棒が延びる。延びる…まだ延びる…ついには身の丈程まで延びてしまった。
これは彼特注の警棒…ボーランド・サナイクマルタル・イヌスル。
略してボーである。
ブンッーガシンッ
「うぉぉぉ！！」
横殴りに振ったボーが販売人の体にヒットする。そして折れた。半分くらい折れた。
ずっとしたを向いたままプル?と小刻みに体を震わせている。
「僕の…」
販売人の拳がゆっくりふりあがる。
「僕の…」
大地を砕く拳が振り下ろされる瞬間。
「僕のボーを返せぇぇ！！！！」
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