平安☆美人の法則!!?

杏奈  2006-10-13投稿
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女房・月乃に庭を見てくるよう勧められた帝は、庭に続く廊下を歩きながら、左大臣の二の姫・伊織姫について考えを巡らせていました。

(…出仕初日から遅刻とは、なんという厚顔な姫なのだ。だいたい醜女ならば、器量が悪いぶん気配りを働かせるべきではないのか?もしこれで本当に、私すら笑ってしまうような醜女だったら、どうしたものか。父が左大臣なだけに、私もあまり軽くは扱えぬ…。しかし醜い顔をいつも見なければならぬというのも…。あぁ、もしや私は早まったことをしたのだろうか…。…だが宮中の女共にはもう飽いたしな…。よし、後悔しても始まらぬ!姫がどんな醜女であっても、それはそれで退屈な毎日を紛らす刺激剤として受け入れよう。ふっ…私はなんと心が広いのだ…。)

…という具合いに、帝が様々なことをつらつらと考え浮かべながら歩いているあいだに、いつの間にか庭の見える場所まで着いていました。

そこで帝は一旦思考をやめ、夕日に照らされた庭に目をやりました。すると帝の目に変な光景が飛込んできました。
庭の隅にある桜の木の下に人──しかもどう見ても女性──が二人いて、帝の様子を窺いつつ、こっそり逃げようとしている(…ように帝には見えた)のです。
しかしどうも何かが木に引っ掛かってしまったらしく、二人してワタワタと足元周辺を探っています。

(このマヌケっぷりは、暗殺者ではあるまい。)
桜の木の下にいる二人が、実は暗殺者ではないかと一瞬考えた帝でしたが、二人のあまりのマヌケっぷりに、その考えは電光石火の勢いで却下しました。

(では一体誰なのだ…?)
庭の二人を危険因子ではないと即断定した帝は、命の危険がないと分かったとたん、庭の二人に強烈な興味を抱きました。もう帝の頭には、目の前の二人の女性(多分)のことしかなく、二人の女性のどちらかが、かの伊織姫なのでは、という考えなんて、チラとも浮かびませんでした。

そして、帝は二人の正体を確かめるべく、そっと庭に降り、未だに足元を探ってワタワタしている二人に近付いて行ったのです。

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