−ユカ、もう寝た?−
−まだ起きてるよ。−
−良かった。今、何してんの?−
−音楽聴いてる。マコトは?−
−俺は今仕事が終わったからさ。今から帰るとこだよ。−
−もう11時だよ。お疲れじゃん。−
−今日中に仕上げないと仕事があってさ。−
手塚梓のメールの相手は、1週間前に携帯の出会い系サイトで知り合った、自称今年の春大学を卒業した22歳の会社員、マコトである。梓は年齢、名前を偽り、17歳の女子高校生ユカとしてマコトとメールをしている。実際の梓はというと、現在大学2年の女子大生。あと、1ヶ月で20歳になる。梓が出会い系に手を出したのは、10代のうちに処女を捨てたかったから。好きな人もいないし、恋愛をしているわけでもない。20歳になるというのに、まだ女の子である自分に焦りを覚え始めたからである。とにかく処女という重い荷物を捨てれるごみ箱を探していた。そう考えた結果、出会い系サイトで男性と出会うのが後腐れなく簡単だと梓は考えたのであった。とは言っても、梓は存在を偽ることにした。生まれて始めて手を出した出会い系サイトに変な罪悪感を覚えたからである。そして、自分とは全く違った女である、ユカを演じ、マコトとメールを始めたのであった。
ユカは梓と違って、男性経験豊富である。付き合った男性は、5人。アソビ、売春を含め経験した男性の数は18人。処女を捨てたのは15歳の冬。高校受験対策に来ていた大学生の家庭教師と。ユカが家庭教師を好きになり、誘ったという設定にしている。