貴博『なっ…』
腹に奴の拳が食い込む。
男『ヒヒ…キヒヒヒヒヒ!イーッヒャヒャヒャ!』
痛みを堪えながら目の前でばか笑いするスプラッタ野郎に刀を構える。
貴博『ピンピンしてやがんな…』
マジかよ…普通の奴なら気絶してるぜ…。
男『ドウヤラお前をナメテいたようだ…』
男が踵を返す。
男『ジャアナ、マタアイマショウ』
そのまま若干早足で歩き出す。
貴博『な…!どこ行くんだよ!?』
男『ア?シリタイカ?ヒャヒャヒャ!なら追ってコイヨ!ムリダロ?ハラ、痛いんだろ?ヒヒヒヒヒヒヒヒ!』
…良く分かってらっしゃる。
あいつの拳はピンポイントで水月に入り、動くだけで激痛が走る。
男『アンシンシロ、キョウハモウナニモしないヨ』
貴博『…うるせぇ!お前には聞きたいことが…』
男『キヒャヒャヒャ!ジャ・ア・ナ♪ヒーヒャハハハハァァ!』
男は校門を身軽な動作で乗り越えて行った。
俺は痛みでその場に座り込んだ。
貴博『…クソッ!』
結局何もかも分からずじまいかよ…。
ブゥゥゥゥン、ブゥゥゥゥン
ケータイが鳴った。
貴博『もしもし…』
叶呼『野中!?大丈夫?何度かけてもでなくて!何があったの?』
全然気付かなかったな。
貴博『悪い、ちょっと…十三日の金曜日と一戦交えてた』
叶呼『ハァ?冗談言ってないで、今どこにいるの?』
これが…冗談じゃないんだな。
貴博『学校。悪い。動けない。助けて』
叶呼『えぇ!?それってどういう――』
俺はおもむろに電源をきった。
後は直接会ってからな…。
俺は傍らに日本刀を突き立て、その場に寝そべった。