次の日から俺は朝練に出る事になった。
てきぱきと準備を済ませ、家を出る。
学校には7時10分に着いた。
部室で水着に着替え、ウィンドブレーカーを羽織る。
九月の半ばとはいえ、朝方は肌寒い。
ウィンドブレーカーを羽織ったのは正解だった。
グラウンドを走り、プールサイドで準備体操といういつものウォーミングアップをしてから泳ぎ始める。
俺は慣らしから泳ぎ、スプリント、インターバルとこなしていった。
休憩を取っていると、ウォーミングアップを終えた成瀬麻穂がやってくる。
「おはようございます。先輩。」
「あぁ。おはよう。麻穂。」
「珍しいですね。明日の天気は槍かな。」
笑いながら麻穂は言った。
俺が何処かで誰かさんに言った台詞だな…。
そんな事は気にせず話を続けた。
「そういや多村はどこを怪我したんだ?」
「右ヒザ内側靱帯です。」
「また大層な怪我をしたな。多村は。」
「ええ…」
そんな話が終わった後、顧問の吉谷先生と成瀬佳穂が来た。
「お。美凪は来てるな。」
「おはようございます。美凪センパイ。」
「おはようございます。先生。おはよう。佳穂。」
それぞれに挨拶を返すと先生が言い始めた。
「アップは終わってるのか?」
「はい。インターバルまで終わってます。」
「分かった。じゃあとりあえずタイムを計るか。」
「分かりました。」
そう言うと俺は第5コースに入り、スタートの準備をした。