「さつきちゃん―!!」彩はさつきに駆け寄り、短刀を奪おうとする。「何するの―!私は…死にたいの!」彩は短刀をさつきから奪ったが、次の瞬間さつきは彩が持っている短刀をぐっと、自分の胸の中に入れた。 (グサッ!)「―っ!」鮮血が辺りに広がる。「さつきちゃん!!」倒れる寸前のさつきを彩は受けとめ、さつきに刺さっている短刀を抜いた。
「なんで…なんで!?死なないで…!さつきちゃん…」彩は泣きじゃくる。「ふふ―、源七郎様の…お側に行ける…ずっと―永遠に…」さつきはにこりと笑うと、彩に話掛けた。「彩ちゃん…ありが…とう…会津の国はね…女は、戦の時になったら…自殺しろって…敵に…辱めを…受けない様にね…私は…源七郎様の…妻として…立派に…死ねたかな…?」「そんな事…!おかしいよ!」彩はさつきの体を揺すったが、さつきは息をしなくなった―。「いや…いやぁ!さつきちゃん…!!」彩は血まみれになったさつきを抱きかかえ、ずっと泣いていた…。当時の女性は、さつきの様に自分で刀を握り、自殺していった人達が大勢いた。さつきは、出陣した源七郎の後を追い、わずか16歳でこの世を去った…。