「−というわけなんよ。めっちゃドキドキしたけーね。」
梓は母親が作ってくれたお弁当を絢と食べながら昨日あった工藤とのメールのやり取りを話した。
「いいな。まじうらやましいし。工藤くん、梓に好意持ってるね。絶対に。」
「期待しちゃっていい?(笑)ただ単に現代法学のノートが欲しかっただけなんよ。真面目に出てる人あんまおらんしね。」
「あっ、もう13時になるよ。行かんでいいそ?」
「やば。うん、行ってくるわ。なら、絢さ、席取っててね。」
梓は食べかけのお弁当をかばんにしまい、小走りで図書館へと向かった。すると工藤は既に図書館前にベンチに座って梓を待っていた。
「待たせちゃった?ごめんね。」
梓は生まれて初めて男性と待ち合わせとうものをした。それ故にこんな80年代のラブロマンスドラマのようなくさい言葉使ってしまった。
「いいよ。俺も今来たとこだし。」
「はい、これ現代法学のノートとプリント。」
「すげ〜、まじ丁寧に書いてるし。」
「とりあえず先生が言うことを書いちょうそ。」
「感謝感激。ありがと。手塚さん、今から授業何?」
「外国文化だけど?」
「俺も。教室どこだっけ?」
「131だよ。」
梓と工藤は一緒に教室へ向かった。180センチ以上あろうかという工藤との会話は150センチちょっとしかない梓にとっては理想そのもの。少し工藤の顔を見上げながらの会話...。ドキドキがとまらなかった。
−ユカ、おはよう。今日、俺は仕事休みなんだ。昨日は早く寝たんだね。−
11時24分にマコトからのメールを受信していたが、梓は返信していなかった。