第一話【終わり始まる】
世界は平和である
安寧は不動である
確定は強制である
無理は危険である
危機は衝動である
本能は戦争である
戦争が起こり、国が詰まらぬ事で睨み合い、国民が巻き込まれ、世界が腐り、しかし誰も逆らえず、炎にまみれ、爆風に飛ばされ、尖兵として駆り出され、斬って斬られて、撃って撃たれて、それでも誰一人として声を上げず、上げられず、勝手に始まって、勝手に終わって、いつの間にか時代が過ぎて、負け犬扱いされ、国ごと犯罪者にされ、間接的に支配され、もう、どうでもよかった。
国道沿いに建設された大きな洋風の建物があり、その建物がある敷地内には一周300mのグラウンド、片道25mのプール、バスケットコート二つ分二階建ての体育館がある。先の建物は校舎と呼ばれるもので総合して一般的にこの敷地全体を『学校』と呼んでいる。
何故そう呼ぶかを考える者はそういない。そこに元からあるからだ。不思議な事ではない。当然の事象。当たり前で、ない事が想像出来ない事。だからこそ、人は知らない物、事が発生すると恐怖せずにはいられないのだ。
それは、一人の少年に舞い降りた。
少年の名は『春日颯樹(かすがそうき)』
彼は、登校の道中、不慮の事故でこの世を去る事となった。