きっと、これは悪い夢だ。 神はいつからこんなに意地が悪くなったんだろう……。揺れる担架の上で考えた。天井が物凄いスピードで後ろへ流れていく。頭を締め付ける包帯に反発するように頭がガンガン痛む。反発しなくていいんだよ…ちょっと大人しくしてくれないか……。担架が徐々にスピードを緩めていく。顔を右に倒してみる……。脱脂綿や薬……あらゆる治療器具を載せた銀のワゴンが置いてある。どうやら自分は手術室に突入していくようだ……。
つい一時間ほど前のことなんて、どうでもよくなりそうだった。中坊だったころの担任がよく言っていた。
「優先順位を考えろ」
今は自分の事を考えていいのかな？？でも、君のことが頭から離れないんだよ……。逃げ出したいよ……。逃げたくとも、体が動かないんだよ……。許してはくれないか？騒がしい手術室前で、君だけの事を考えてるよ……。
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