時計を見ると、11時半を回っていた。
改札口を見たら、君はまだ来てなかった。
一目を気にする君は、僕と逢うのはいつも夜中だった―・・
外は、寒くて僕が息をするたびに白い息が何度も僕の前を通った。
夜は、いつも短い―・・もっと長かったなら貴方を今以上に愛せるのに・・
そう思っていると改札口の音が鳴り、振り向くと君が改札口から出て来た。
僕と目が合うと、いつもの優しい笑顔を僕に見せた。
その笑顔がとても好きで、僕を何度も癒してくれる。
君と手をつなぐと、君の手はとても冷たくて僕のポケットの中に手を入れた。
ポケットに手を入れると、手をつないだ。
何度も手をつないだ・・
その瞬間がいつまでも続けばいいと、何度も願った―・・
君との時間が、君の声が僕をありのままでいさせてくれる。
強く君の手を握った。君も同じ様に強く握った。
強く握った手には、指輪が当たった・・
あの人の物と実感させる、その指輪が。。
今はあの人の物だけど、明日の朝が来るまでは僕だけの物と
そう・・信じたい。
何度も、そう願っていた。
どうか、この時間だけはずっと覚めない夢であって欲しい。
貴方を愛するこの時間だけは、幻ではなく
どうか永遠に続きますように・・そう思っていた。
ライトアップされた町並みを歩いていると、君が
「ずっと、貴方のそばにいたい。帰りたくはない」
そう答えた。