職員室までくると、鬼越がこちらを睨みながら手招きした。
「あなたたちはなぜ授業に遅れたのですか?」
「図書室いってたんすよ。そんで本読んでました」
千夏が答えた。
「なんの本を読んでたんです?」
鬼越は授業のことより本の方が気になるようだった。
「『漣学園のすべて』です」
それを聞いた鬼越は一瞬血相をかえた。だがすぐにいつもの顔にもどった。
「そんなくだらない本なんか読むより勉強なさい」
「気になることがあったから読んでたんすよ。悪いんすか?」
千夏は少し頭にきたのか口調が怒っているように聞こえた。
「気になること?それはなんです?」
「『扉』についてです。かなり気になってしまったので調べていました」
美樹は冷静に答えた。
「『扉』ですって?本当にくだらない。ほら、次の授業がはじまります。さっさと教室にもどりなさい」
鬼越からは焦っているような言い方をしていた。
「「「「は〜い」」」」
美樹たちは怒りを抑えながら職員室をでた。
「ばかな子たちね。クスクス」
鬼越は笑っていた。まるで、鬼のような顔をしながら。
続