猫の恋

Soul  2006-10-17投稿
閲覧数[355] 良い投票[0] 悪い投票[0]

名前のないノラ猫は草むらに咲く花に恋をしました

名前は「コスモス」といいました

ピンク色で背が高くて猫はいつも見上げながら話をしました
金木犀が香る秋のはじめ、猫はいつものようにコスモスのところへ出かけていきました

コスモスは風に揺られて静かに遠くを見つめていました

「ねぇ?コスモスさん!今日は元気がないね?どうしたの?」
「時々吹くこの風に揺られているとね、なんだか寂しくなるの」

「ふ〜ん...あっ!今日ね!小さな女の子に食べ物をもらったんだよ!一緒に食べようよ!」

「猫さん、わたしは食べれないわ。ごめんなさいね」

「...おなかすかないの?何も食べなきゃ死んじゃうよ!」
猫は目をまん丸くして一生懸命にコスモスに言いました
「心配しないで猫さん。わたしは大丈夫よ」

「でも最近元気がないよ?背も小さくなった気がするし...」        「きっと気のせいよ..心配しないでね」        「..ほんとぅに?」
「えぇ。」

コスモスが優しく微笑んだから猫は安心しました

それから猫は夢中で話をしました

ただ話をするだけで嬉しくて仕方なかったのです

しばらくすると空も暗くなってきました
「コスモスさん、僕そろそろ帰るね!今日暖かそうなとこ見つけたんだ!そこで寝るんだ!」

「そぅ、、わたしも行ってみたいわ。。」
「今度教えてあげる!誰にも内緒だよ!じゃぁ また明日ね!」

「気をつけてね。さよぉなら」

ーー次の日
猫はいつものようにコスモスの所へ出かけました

いつもより風が冷たくて、いっきに寒くなったようです

「今日はずいぶん寒いなぁ...」

草むらに着くと いつも居るはずのコスモスが居ません

「あれ..?コスモスさぁん??」

しばらく周りを探してみてもコスモスは居ません

ふと、下を向くとピンク色の花びらが落ちていました

「コスモスさん..?」

コスモスは枯れてしまったのです

猫はそれがコスモスだと分かりました
「コスモスさん?コスモスさん!」

何度呼んでも返事はありません

「大丈夫だって..言ったじゃないか..」
風が冷たくて、悲しくて、涙がとまりません

どんなに泣いても どんなに鳴いても

そこにはいないから
冷たい風が冬をしらせにきました。

ねぇコスモスさんさん?
そこから何を見ていたの?
僕の声はもぅ届かないの?

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 Soul 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ