三回戦。
相手は県一位の強豪チームだ。
それなりにプレッシャーを感じた。
でも、負けたくなかった。
そして、いよいよ試合開始。
ジャンプボールは俺たちのチーム側に落ちた。
豪がキャッチして、早速俺にパスを回して来た。
(とりあえず、攻めなきゃな)
ディフェンスの隙を見つける。
そこに勢いをつけ攻めた。
上手くかわせた…と思った瞬間。
ディフェンスが立ち塞がった。
そしてファールしない程度に上手く守りを固めて来る。
(やべぇな…)
完全にまわりが塞がってしまった。
まさに、あっという間だった。
すると、ディフェンスを上手く交わしてキャプテンがゴール下に入っていくのが見えた。
俺はそれに反応し、フェイクしてパスをだす。
……が。
すぐにボールは奪われ、目にも止まらぬ速さの速攻で、最初の点が決められてしまった。
(…こ、こんなにもレベルが違うのか…すげぇ)
正直言って、全くと言っていいほど俺たちの攻めは無意味だった。
守りが固く中に攻めることもままならないし、スリーポイントを狙う隙もない。
隙を突いても瞬時に守りに入る。
パスも完全に見透かされ、すごいスピードの速攻で次々と点を決めてしまうのだ。
あっという間に第一クォーターが終わった。
この時点で、20-4という大差だった。
でも、返せない点数じゃないと思った。
まだあと三クォーターもある。
しかし…いつもの調子が出ない俺は、焦っていた。
「おい、健太。
いつものお前らしくないけど、具合でも悪いのか??」
キャプテンが心配そうに俺をのぞきこむ。
「あ…すみません。
なんか今日調子悪いみたいで…」
「あんま固くなるなよ。
初めての試合なんだから、緊張すんのが当たり前だよ」
「はい……」
返事はしたものの、不安は抜けなかった。
結局第二クォーターも歯が立たないまま、38-7で終わった。
焦りは大きくなり、深い絶望に襲われたまま、第三クォーターが始まった。
(いつものプレイをさせてくれ……)
そう、見えない何かに祈りながらコートに入った。
……その時。
「健太ぁ〜!!頑張って来いよぉ〜ッ☆」
麻美の声が響いた。
見上げると、女子が応援に来ているのが見えた。
一瞬、中島と目が合った気がした。
───活躍したい。
そう強く思った。
ピピ───………
ジャンプボールが上がった。