K君が点滴から戻ってきた。右も左も注射の跡が痛々しい。S氏と楽しそうに話している。患者同士気がねなく話せて嬉しそう。S氏の病気は遺伝的なものだそうだ。それも風土病。十万人に一人の割合で発症する病気だそうだ。この病院に来る患者は難病が多い。 僕の病気は一万人に一人だから、僕の方が仲間が多いなあ。 とK君は笑った。 今日の診察は主治医が学会でいないので、若い先生が担当することになっている。前回悪くなった症状を主治医の先生が若い先生に見せていた。若い先生にとって勉強になる患者が、K君だ。
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