グッドルッキング・ガイ

けん  2006-10-20投稿
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男は素晴らしくハンサムだった。

長身で小顔だったし、目鼻立ちも美しかったため、多くの女性を魅了した。

そんな男の、とあるデパートでの話。

「オー!コノクツイイネ!スゴクキニイッタケド…オカネガ…」男は高級ブランド靴に目を落とす。

「うんうん。とてもあなたに似合ってる!いいわ、買ってあげる」女はとても上機嫌な様子だ。

(へへ、ラッキー♪)

男はいつも思う。
日本の女性はつくづく外国人男性に弱いものだ、と。
今日も適当な女性を見繕い、その心の隙へと滑りこんでいく最中だった。

その時、男はある異変に気付く。

目の前に並べられた靴がカタカタと動いているのだ。
「…ン?」

突然の出来事だった。

ガシャン

店内が急に大きく揺れだし、花瓶のようなものが床に落ちる。
人々の顔に明らかな動揺の色が浮かびはじめた。

「地震だわ!!」

女は必死の形相で男にしがみつこうとする。

「うっわ地震やん!コレほんまもんの地震やがな!!ここデパートの五階やろ?あかん俺終わった…もうあかんわ」
男は早口でまくしたてた。

女は一瞬あっけにとられたが、なんとか言葉をしぼり出す。

「あなた…日本人だったの?しかもコテコテの関西弁…だましたわね!!詳しい話を聞かせてもらおうじゃないの」

地震は一分もたたないうちにおさまった。
そして男の人生は継続する。
少なくとも今日は長い一日になりそうだった。

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