今日から休みだ。
…とは言っても土曜が学校だったから日曜一日しかないけど。
いつものように朝9時に起きる。
悠香がテーブルの上に突っ伏して寝ている。
机の上には数学や情報の教科書、ノートと筆箱が置いてあった。
何故か筆箱の中身は入っていなかったが。
それにしてもどんな勉強をしているのか気になり、ノートを覗く。
「ぷっ…」
思い切り吹き出した。
何故ならノートには、イラストしか書いていなかったからだ。
まあ、俗に言うところのボーイズラブと言う事は解った。
気付かれる前に退却したほうがいいと判断し、その場を離れた。
親父と話をしていると、インターホンが鳴った。
出てみると多村がそこにいた。
「多村!?何でお前がここに?」
「驚くことはない。家はすぐそこだからな。」
そう言って目の前の家を指差す。
確かに表札には、薄い色で多村と彫ってある。
何で今まで気付かなかったんだ…
「まあ、俺が怪我しちまったからよ。お前に頑張ってほしいと思ってな。ほれ。」
そう言って多村は指にはめるゴムリングをくれた。
「これ…お前が大事にしてるお守り代わりじゃないか。こんなものは貰えない。」
「いいんだ。俺にはもう必要ないものだしな。」
そういって多村は無理矢理にそれを渡すと出ていってしまった。
「しょうがないな…」
俺は五日後の大会に向け頑張ることにした。