土埃を払い、ジャックは短剣を鞘に納めた。
ジャック:「腹へったなぁ〜朝飯食いにいこうか」
アイン:「そうだな」
ジャックに続いて、アインも隊舎小屋に向かう。
給仕室に向かう途中に
…「アイン、ジャック!待ちなさい!」
と後ろから声をかけられた。
アインとジャックは振り返る。
そこにはアイン達と同い年ぐらいの女の子が鎧の胸あてを装備し、腕を組んで立っていた。
アイン:「なんだよ?【エリス】」
エリスは淡い栗色の長い髪を後ろで束ねポニーテールにしていた。一見すると、かわいらしくて幼さのが残る顔立ちだが、眉間にしわを寄せて怒った表情をしている。
エリス:「なんだよ?じゃ、ありません!仮にも城に仕える兵士が宮殿内で私語しながら軽率を振る舞うとは何事ですか!!」
ジャックはやれやれ、と肩をすくめた。
ふぅ、とアインは息をついた。
アイン:「悪かったよエリス。今度から気をつけるよ」
エリス:「分かればいいのよ。」
エリスは踵を返し、後方へ方向いた。
何かを思いだしたようにまた振り向き、
エリス:「あっ…それから、私のことは【エリス隊長】と呼ぶよーにっ!」
と、言い捨てて、歩いていった。
ジャック:「なんでぇ?ありゃ」
その後ろ姿をアインは見届けながら、いこうか、と言ってジャックと給仕室に向かう。
朝食のメニューは、野菜スープに薄切りの牛肉ステーキ、パン。シンディア独特のブレンドコーヒー。
ジャックはよほどお腹空いていたのか、ガチャガチャと騒がしく食べていた。
アイン:「落ち着いて食えよ」
香ばしい香のするコーヒーを飲む。
ジャック:「ンッンフー!ンフフンフヘッヘン(だってよー!腹へってんだもん)」
アイン:「わかった、わかった。」
アインは苦笑しながら、パンを手に取って食べやすい大きさにちぎって口にほうり込んだ。
口の中の物をいきよいよく、ゴクンと飲みこみコーヒーを飲みながらアインに問い掛けた。
ジャック:「考えごとか?」
アイン:「まぁね。」
ジャック:「エリスのこと?」
アイン:「違う。」
素っ気ない返事に”つれないな〜という表情をしてみせた。
続ー。