雪の華20

龍王  2006-10-21投稿
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目の前に現れた白藍の弟〈黄藍〉は冷ややかな笑みを浮かべ、見下すように私を見ていた。

顔は白藍と同じなのに雰囲気は全然違った。

まるで陰陽。

それはどちらも欠かせない二つで一つ。


「朱斐、ごめん。こいつ連れて帰らんとあかんねん。ほんまゴメン」

白藍はひたすら謝り、今度改めて紹介すると言って、弟・黄藍と帰って行った。

キョトンとしながら朱斐は二人を見送る。

「──……何で…」


キスされそうになったのかしら?


 朱斐がグルグル頭の中で疑問を巡らせ混乱している。
その状態のまま数分経った。

「朱斐」
「聖夜!」

 迎えに来た聖夜に向かって朱斐が駆け寄る。白藍に送る時間が無かった為、朱斐の家の者、聖夜が迎えに来た。

「聖夜、ごめんなさい。わざわざ…」
「──いいや、これも付き人の役目だ」
「?──」

 聖夜の様子が変。
 そう感じながらも何がどこが変なのか分からない朱斐は、何も言えない。

「せ・聖夜!」
「──何?」
「あっうっその……と・桃実さん……元気だった?」

 朱斐が不意についた桃実の名。
 一瞬、聖夜の顔が歪み、すぐに笑顔になった。
 作り笑顔に…

「あぁ、元気だったよ」
「……聖…夜…?」

 朱斐はわけが分からず、戸惑うばかり。
そんな朱斐に気付き、聖夜は朱斐の頭をなでる。

「お前が気にする事じゃない。何でも無いよ」

偽りの言葉、優しい気遣い、作り笑顔。
 胸が痛い。
 自分は何の役にもたたない。

「聖夜、早く帰りましょう」
「あぁ」

せめて私は笑っていよう。何も出来ないけれど──でも聖夜の隣にいる時は笑顔を向けてあげる。
 私の事まで気遣わないように──





「あのな〜いきなり何でくるねん!アホ」
「下品な言葉使いは止めなさい」

 車。同じ顔の双子が言い争っている。

「そんなんどうでもエエやろ!それより返事言えや」
「見たかったから……だ。お前の婚約者」

「それで何でキスしよう思ったんや」
「あの馬鹿な女が俺を白藍と呼んだから」

「あのな〜双子言うてないんやから間違うわ!」
「いいのか?それで……」
「何がや?」
「──ガキ」
「ハッ!!?おま…エエかげんにせぇよ!ボケ!」



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