「ギャオォォォォォッ!!!」
竜は上を向いて大きな声で鳴いた。その声のあまりの大きさに足がすくみそうだった。秀の能力は竜を操る能力だった。
「俺達のリーダーだった人がこんなになってしまったなんて残念です」
そぅ秀が言うと、竜はもぅ1鳴きして背中にある黒い翼で羽ばたいて龍華達の方へ飛んできた。
「・・・!」
藻は龍華の方を見た。龍華はただそこに立っているだけで、動かなかった。
「龍華!」
ドカァン・・・
竜は何かにぶつかった。それは、大きな岩の壁だった。
「龍華!しっかりしろ!」
「・・・!・・・。藻。スマン」
龍華の目の前には藻の姿があった。藻が上げた両手の先には岩の壁があった。藻の能力は岩を操る能力なのだ。
「藻先生も能力持ってたんだ」
その岩の壁を見たまどかは、少し驚いたような顔をして言った。
「龍華。どぅしたんだ・・・?」
藻は龍華に問う。
「いや。なんでもない」
「行くぞ、龍華。反撃だ」
「あぁ。分かってる」
この時藻は気づかなかった。
龍華の心に最悪な気持ちが芽生えていたことに・・・
それは
―――動揺と言う気持ちだった。