しっかり俺の手を桜井は握りなおし、廊下に向かって
「悪いな〜今日はバレンタインデーで俺たちこれからデートなんだから、邪魔するなよーどいてくれよー」
と桜井が言い出した〜
「なっっっっ」
俺が引きつると、全力で走り出した。
いつも俺たちがバイクを預けているバイクショップまで、引きずられるように走り抜け息を切らせながら、ショップの中でしばらく身を隠すと、女子集団が来ないのを確かめて、バイクにまたがった。
「なに言い出すかと思ってあせったぞ〜」
と乗りながら俺が言うと、
「ああでも言わないと、女どもがどかないだろうから、今から香里さんに報告に行くんだろう。顔見て言ってやれよ、きっと喜んでくれるよ。」
「ありがとう、俺だけじゃもみくちゃにされて抜け出せないところだったよ」
というと
「このままデートでも俺は構わないけどなー」
と言い出した。
「冗談はやめろよ〜」
「マジだからな、それでも香里さんにはかなわないから送るから心配するなー」
といいながらバイクのハンドルを桜井が握って、香里の所までの奥深い山道を送ってくれた。
着くと、桜井は俺を思いっきり抱きしめて
「俺はいつだってお前に惚れてるからなー」
「ふざけんなー」
と引き離すと
「これで許してやるよー早く香里さんに合格報告してこいよ。」
と笑顔で俺を押し出すようにして行かせてくれた。
どこまであいつは本気なんだ、あせって冷や汗が出ていた。