西田の言ったことを信じようか信じまいか迷っていた。
違う世界に行くってことはこの世界で死ななければならない。
椿が死んだ次の日、包丁でリストカットしようとした僕を必死になって止めようとした母の顔を思い出した。
僕の父はもういない。僕も死ねば母は一人になってしまう。
しかし僕は椿と一緒に生きたい。でもこの世界でまだやりたいことがたくさんある。頭の中が矛盾した考えでいっぱいになる。
あっという間に一週間がたった。
僕は本屋の近くの噴水へと向かった。
もう決心はできていた。なのに心はきつく締められている。
噴水の近くに西田が立っていた。
僕は彼女のもとへ駆け寄る。
「待ったかい? 椿 。」
一週間前から気付いてた。彼女は西田という偽名を使っていることに。
つづく(たぶん次で完結)