雪の華21

龍王  2006-10-22投稿
閲覧数[487] 良い投票[0] 悪い投票[0]


 聖夜の様子もおかしかったけど、白藍の事も気になってる。
 段々私の中の黒峯は薄れていく。
 私は本当に黒峯を愛していたの?
 小さな子供が、大好きなオモチャを独り占めしたいように──
 ただの我儘で側にいて欲しかっただけ?
 愛でも好きでも無くそれはただの──




「──…えっ?」
「どうも」

 ここでいつもなら強引な白藍が来る予定──だけど……

「黄藍……さん」
「朱斐様、今日は俺に付き合って頂けますか?」
「え…ええ?」

 急な呼び出し、父親の名で呼び出されたかと思えば、相手は黄藍だった。
 一体何故。

「か……構いませんが、白藍…さんは?」
「あぁ、あいつは賭けに負けたので俺の代わりに交友関係者主催のパーティーに……」

「あなたは行かなくてもよいのですか?」
「同じ顔は二人もいりません。逆に二人揃えば目障りでしょう」

 淡々と冷たい言葉を自身に吐き平然としている黄藍。
 朱斐は戸惑う。

「──……私なら……あなた方のように美しい者を二人見れたら嬉しく思いますが」

 朱斐は善意で思った事を言った。
 が黄藍にはそう聞こえなかった。

「俺達双子は見目がいいから見世物になれと……そうおっしゃいますか? フッハハッ」
「──……良くも悪くも人を惹き付ける美しい容姿を御持ちだと……私はそう思います」

 黄藍のイヤミに朱斐はおくさない。
 朱斐の態度に苛立ち顔が歪んでいる黄藍は、朱斐の手首を握りグイッと引っ張る。

「黄藍?どこに……」
「あなた自身はただの駒だと理解していますか?」

「──えぇ。よく」
「白藍も俺も同じです。駒で駒としての役目がある」

 朱斐は黄藍に手を引かれ、人が行き交う道を歩いている。

「あなたは──駒だ。なのに何故……他の人間を見るのですか?」
「えっ?」

 黄藍が立ち止まり、朱斐を睨み、軽蔑の眼差しを向ける。

「ッ」

 朱斐は言葉を発せず、固まる。

「ちょっとの悪戯でキスしようとしたけど、あなた全身で拒絶していた。顔を歪め、身を強張らせ、涙目だった」
「あ…の…それは」
「他に好きな男がいるのですか?」

 黄藍が問うと、朱斐はビクッと身を震わせうつ向く。

「分からないの」


 分からない。
 誰が好きなのか…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
海外セレブを魅了☆
☆ピチピチのお肌に


▲ページトップ