ジャスティスフール2―2

奇空の朱  2006-10-22投稿
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逃げた木柳 雪を追う江美と男は、街中で発見した雪と距離を置き人気のない場所まで辛抱強く尾行してする。すぐに接触しても良かったが、二人は異様な気配を感じ取っていたので慎重な行動を取っていたのだ。
「ゼウスの連中か……」
「違うわ。ゼウスでもポセイドンでもない……」
二人は気配の方を向かず、位置だけを確認しようと相手の力を探る。
「かなりの手だれだ」
 マントの中で嬉しそうに男は笑う、まるで新しい玩具を買ってもらった子供のように。江美は男が今にも暴れ出すのではと不安だったが、男を抑制するように冷静に声をかける。
「ええ、しかも少しづつ近付いてきているわ……この先に廃工場があるわそこで迎え撃ちましょ」
「ヒャ……」
言葉にもならない声で男は歓喜の奇声をあげる。廃工場が近付くにつれ、男の回りを闇が覆い始める。
二人は散り散りに光の通らない廃工場の闇に身を潜める。
静かな沈黙の中、唐突に静寂を破る異様な力を保有する者の坦々とした足音、相手の先手を取ろうと神経を研ぎ澄ませる二人、膠着した状況の中沈黙を破ったのは工場の中央に来た異様な者。
「堕落……」
「な!」
「!」
突然二人に襲いかかる重圧は、天井に隠れていた二人を力任せに地面に叩きつける。
「雷……」
立ち上がろうとする二人に電撃が走る。電撃の光が異様な者を照り出す、静かな殺意を込めた白銀の瞳、白銀のスカート、白銀のブレザー、白銀の剣、風になびく白銀の長い髪、全てが白銀に統一された女性は他の表現を許さない美、以外のなにものでもなかった。
「キャアァ!!」
「オオオオ!!」
電撃のショックで体から煙をあげる江美は気を失うが、男はゆっくりと立ち上がろうとする。
だが、白銀の女はそれを許さなかった。
「雷……」
さらなる電撃と苦痛を男に与える。
「グオオォォ!!」
男は爆発させるように闇を放ち電撃の呪縛から開放される。
「ヒャァァ!」
奇声と共に男から放たれた闇が女に飛び掛かる。
「昇華……」
何をするのでもなく言葉を発するだけで、迫り来る闇を蒸発させ滅する。
「貴様はぁ!一体ィ!何者だぁ!!」
男の両手から放たれた闇は矢と化し、女に向かい疾走する。
「檻……」
闇の矢は地面から突出した土の柱により軌道を遮られ激突し音もなく砕け散る。
「私は…私の名は……ジャスティス…フール」

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