彩はさつきを抱いたまま、いつの間にか寝ていた…。 闇の中を彩は歩いている。うめき声が無数に聞こえる夢の中…。
…人が倒れている。それは、さつきだった。『さつきちゃんっ…』彩はさつきを揺すった。さつきはぐったりとしていて、何も答えない。
辺りを彩は見回すと、まだ闇の中に倒れている人達がいた―。 それは…。 白虎隊の少年達―。無数に血が流れ、皆惨い姿だった…。 『儀三郎君っ!源七郎君っ!みんな…なんで―?』 彩は嫌な予感がした…振り返ると、そこには…
倒れた悌次郎の姿が―。髪は乱れ、傷を負った体は戦の酷さを物語っている。 『悌次郎君っ!悌次郎君っ!嫌、いやぁぁ…』
彩は泣きながら、悌次郎を抱き締め、唇を重ねた。 『お…ねがい…悌次郎君―生きて…!』 「いやぁぁ!!悌次郎君!」 彩は目を覚ました。額には汗が大量に流れている。この悪夢が現実になる事を、彩は悟った―。(続)