友三、お前は今どこで何をしている。親父さんの跡を継いでしっかり働いているのか。こう風が冷たくなってくるとお前のことを時々思い出すんだ―――\r
「なぁ、今から面白いところ行こうや」
ふいに友三が話しかけてくる。
私は少し渋い顔をつくってみせる。
こういう時の友三は決まって何らかの悪事を企んでいるのだ。
こいつと知り合ってから、何度私は自分のフレームを壊してきたことか。
外泊、ラーメン屋通い、路上ギター、田んぼに向かって石を投げ合ったこともあったっけ。
しかし良くいえば私を少しなりと変えてくれた人物ともいえる。
当時の私はひどく真面目くさっていたのだ。
「ほんで面白いとこってどこやねんな」
一応聞いてみることにした。
「さぁてね。とにかく面白いとこやねん。あ、釣竿は持って行ったほうがええで」
釣りの穴場でも見つけたのだろうか。
どうもそれだけではないような気がして、私はまだ良い顔ができずにいた。
「あ、ちなみに塩田さんもくるで」なんでもなさそうに友三がいう。
「うそっ、行く行く!!」
二つ返事で私は答える。
塩田さんの名前を出すとは。さすがにツボを熟知しているのだ。
「よっしゃ!ほなさっそく行こか」友三がチャリを反転させる。
「おう!マッハで釣竿とってくるわ」
私は勢いよくチャリをこぎだす。
暑い夏の盛り、我々は中学三年生だった。
世界は気持ち良く晴れていて、目に映るもの全てが輝いていた。
続く