15歳のデイトリッパー

けん  2006-10-23投稿
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友三、お前は今どこで何をしている。親父さんの跡を継いでしっかり働いているのか。こう風が冷たくなってくるとお前のことを時々思い出すんだ―――\r



「なぁ、今から面白いところ行こうや」
ふいに友三が話しかけてくる。


私は少し渋い顔をつくってみせる。
こういう時の友三は決まって何らかの悪事を企んでいるのだ。

こいつと知り合ってから、何度私は自分のフレームを壊してきたことか。

外泊、ラーメン屋通い、路上ギター、田んぼに向かって石を投げ合ったこともあったっけ。

しかし良くいえば私を少しなりと変えてくれた人物ともいえる。
当時の私はひどく真面目くさっていたのだ。

「ほんで面白いとこってどこやねんな」
一応聞いてみることにした。

「さぁてね。とにかく面白いとこやねん。あ、釣竿は持って行ったほうがええで」

釣りの穴場でも見つけたのだろうか。
どうもそれだけではないような気がして、私はまだ良い顔ができずにいた。

「あ、ちなみに塩田さんもくるで」なんでもなさそうに友三がいう。

「うそっ、行く行く!!」
二つ返事で私は答える。

塩田さんの名前を出すとは。さすがにツボを熟知しているのだ。

「よっしゃ!ほなさっそく行こか」友三がチャリを反転させる。

「おう!マッハで釣竿とってくるわ」
私は勢いよくチャリをこぎだす。

暑い夏の盛り、我々は中学三年生だった。
世界は気持ち良く晴れていて、目に映るもの全てが輝いていた。





続く

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