またも俺たちのチーム側に落ちた。
今度は俺がキャッチする。
(ん…??今行けば抜けるんじゃないか…??)
見ると前方がガラ空きだ。
ジャンプボール直後だから、みんなが中央に集まっている。
俺は瞬時に前に攻めた。
しかしやはりディフェンスが追いついて来る。
その時、豪の姿が前方に見えた。
俺がキャッチした時にすでに走ってくれていたのだ。
(豪!!)
託す気持ちでパスを出した。
ゴールは豪の目前。
豪は高く跳ぶと、ジャンプシュートを放った。
ボールは綺麗な弧を描いた。
スパッ───………
ワァァァ────……
決まった。
女子のスゴイ歓声があがる。「豪くんナイスシュートッ!!☆
健太、ナイスパスッ!!♪♪」
麻美が叫んだ。
(…もっと決めたい)
そう思った。
(でも…向こうのオフェンスは相変わらず隙がないな…。)
そう思った時だった。
「健太、前に走れっ!!!!」
キャプテンが叫んだ。
見ると手にパスカットしたボールがあった。
俺は無我夢中で走った。
キャプテンがロングパスを放つ。
俺は確実に受け取ると、前を見る。
すでにディフェンスが戻っている。
俺は、ディフェンスのマークを交わし、スリーポイントを狙って、うった。
一瞬、会場に静けさが走る。
そして───
────スパッ─……
ワァァァ───……
またも綺麗に決まった。
これで38-12。
点数はまだまだ大差だ。
しかし俺はいつもの調子を取り戻していた。
次々と他のメンバー四人と連携しながらシュートが決まって行く。
ピピ───……
第三クォーターの終わりを告げる笛が響いた。
点数は……44-26。
相手は少し驚いた様子だ。
もちろん俺たちも驚いた。
「健太っ!!お前やっぱすげぇなぁ!!」
豪が近寄って来て、俺の頭を叩く。
「いやっ、先輩とかお前のお陰だって」
「チビのくせによくやるよなぁ♪」
キャプテンがニヤついて言う。
「チビって…豪とか先輩たちがデカいんすよ」
そうは言ったが実は俺は背が確かに低い。
先輩や豪の身長を平均すると、おそらく175くらいだが…俺は166しかないのだ。
「おっ、もうすぐ始まるな」
タイマーをみた先輩が言う。
「よし、次が最後だ。
気合入れていくぞ!!!!」
「はい!!!!」
キャプテンの掛け声に気合が入る。
最後の勝負が始まった。