俺は自販機でビールを買い、あてもなくふらふら歩く。ビールの苦味とアルコールが、俺の胃を駆け抜ける。初めての恋。人妻である人と。学生の俺。なにもない俺。金もない、なにもない。未来しかない俺。雨が振る中、空を見上げる。涙を誤魔化してくれるかのように振る雨。
彼女は何を思い、俺と体を重ね、何を思い、俺をつきはなしたのか。今はわからない。これからもわからないかもしれない。
俺の初恋は、ビールの苦味と雨が全てあらいながしてくれるのか。俺は空を見上げながら、誓う。次に恋した女性は必ず包み込む事ができるように。そして、彼女が幸せに笑えるように願う。 終り