「宇宙って、広いよね〜」「お前、知ってるか?」「何を?」「この宇宙には、いくつもの時間が流れてて、俺達の住んでる地球もいくつも存在するんだってさ」「ん?」「俗に言う、パラレルワールドってやつよ」「何言ってるか、全然わかんな〜い」「だろうな…」「ジン君て、そんな話すきなの?私はさっぱりだけど」「好きっていうか。なんか考えるわけよ。俺と同じ名前で同じ姿してるけど、全く違う人生生きてる奴がいるんだろうなって」「ふ〜ん、私はそんなの考えたこともないけど、なんか哲学だね〜」「まぁ、こんな事本気で考えてる奴なんて、稀だろうけどさ」「ふ〜ん、そろそれ帰ろうよ。私、お腹空いた」「はいよ」「今日の晩御飯なにかな〜?」「お前ほんとに毎日幸せそうだな。何も考えてないってか」「失礼だな〜。私だってそれなりに人生悩んでるのよ〜」「何を?」「ジン君には秘密だよ」「なんだよ、それ。まぁ、いいけどさ」「エヘヘ」「だからなんだよ、その笑いは」「知〜ら〜ない」「たくっ」「早く帰ろ〜」「おい。待てって」
彼の名前は、神谷陣。彼女は、七瀬あかり。二人は、17歳の高校生。二人は、いわゆる孤児で、同じ孤児院で育った。そして、物語は始まりを告げる…