好きなんだもん…?

ゆーみ  2006-10-25投稿
閲覧数[412] 良い投票[0] 悪い投票[0]

竜が迎えに来て、助手席に乗る。
香水とタバコの匂い…
あたしが大好きな匂い…

「どこ行く?」
「どこでもいーや」
「んじゃいつもんとこで」

そう言って向かったのは近所のファミレス

注文して、ドリンクバーにドリンク取りに行く。
竜のドリンクは聞かなくてもわかる。
「はぃ。」
「ん。」
素っ気ない返事もいつものこと
それから普通に話して、笑いあって、食べられないトマトを竜にあーんして食べさせた。
おかしいね。ほんとにおかしい…

ご飯食べて、近所の海沿いに車止めて話しした。
ずっと彼女の話題は出なかった。
あたしも出さないようにしてた。
直接そんなこと聞いてしまったらあたしの心は痛くて痛くてその痛みで死んでしまうから…

外は風がすごく強くてまわりの樹々を強く揺さぶっていた。

「風…強いね」
「だなぁ〜。そろそろ行くか。約束あんだよ。」
「…彼女?」
「そう。迎えに来てって言われてんだ」
「そっか…」

思わず聞いてしまった。聞いて後悔した。
涙をこらえるのに必死で家までの数分が長く長く感じた…

「じゃあ。」
「……っないでっ」
「え?何?」
「…何でもない…」
そう言ってうつむいたまま車を降りた。
顔を見られたら今にもこぼれそうな涙を見られたらから。
静かに竜の車は走り去った。その姿を見ながらあたしは今までこらえていた涙が溢れ出した。
風がすごく強くて、あたしの泣き声はかき消された。
「…っ行かないでぇっ」
嗚咽に混じってやっと言った言葉けれどその言葉を風がかき消して行く。誰にも届かない想い。
声をあげて泣いた。子供みたいに道にしゃがみこんで…
「頑張れぇ…泣きやめぇ…」
「強くなるんだから…絶対、絶対強くなるんだからぁっ」
「大好きだよぉっ…」

あんなに声だして泣いたのは久しぶりで、風が強くてよかったって思った。あたしの思いを吹き飛ばしてくれる気がしたから。
いっぱいいっぱい泣いて、声も涙も枯れたあと、
「ありがとう…」
何に対してなのかはわからない。けどなんか知らないけど自然に出た言葉。
それから笑った。多分あたしの顔は晴れやかだったと思う。
大丈夫。あたしは強くなるから。
心からそう思った。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ゆーみ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ