今も自然とあなたを目で追っている。きっと竜、あなたは私が毎日見ている事を知らないね。でも私は見ているからね。
あれは、何かをこの世でやり残したわたしが成仏できずに町をブラブラ歩いていた時だった。そう、あなたを見つけたのだ。この瞬間わたしが成仏できなかった理由がわかった気がした。
あなたにまだ出会ってなかったから。だから私はたった一人この世をさまよっていたんだ。
今日もあなたの後を着いて行く。細い路地裏。いつもと違う見たことのない道だ。
「おい。お前はなんなんだ?」
竜がそんなことを言ったけど・・・誰に?
私に? そんな訳ないよね。
あなたに幽霊である私が見えるわけないもん!!でも竜は確実に私が立っている方向をみている。
「私に言ってるの?」と、返って来るはずのない返事を待っていた。
その時、「おまえ以外に誰がいるんだよ?そこの白い服着たおまえ以外に。」
私は硬直した。普通は幽霊は硬直しないと思う。でも、わたしは動けなかった。
しばらくして私は聞いてみた「あなたに私は見えるの?」と、一言だけ。
「ああ。なんかストーカーっぽいとは思ってたけど・・・まさか幽霊だったなんてこっちも驚きだぜ。」と竜は苦笑しながら言った。