目が覚めた時、辺りはまだ薄暗かった。
反射的に時計を確認する。
午前5時過ぎ。
二度寝しようものか、少し悩む。
「ふぁぁ…」
あくびをしながら周りに目をやる。
部屋のあらゆるものに早朝の空気が染みこんでいた。
そんなひんやりとした静けさの中、私は再び心地良い眠りに入る。
「二度寝してるやん!」
友三の甲高い声が耳に飛び込む。
「なんやねんな…」
朝一番のツッコミにやや不機嫌になる。日曜だからなおさらだ。
「ほら行くぞ!着替えて、釣竿持って」
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その野池は驚くほど釣れた。
結局、大小合わせて20尾は釣り上げたと思う。
普段は3〜4尾釣れれば満足している私なのだが。
ここはれっきとした釣りの穴場だった。
「むっちゃ釣れるやろ?」
友三がにやりと笑う。
「面白いほど釣れよるわ」
私もにやりと笑った。
そうして我々は、魚を食べずしてある種の満腹感を味わった。
「ほなそろそろ移動しよっか」
友三が時計を見ていう。
もう昼近くになっていた。
「そやな。で、どこ行こっか」
それから我々は町に出てみた。
田舎とはいえ、色んな店が建ち並んでいる。
大型の電器店もちゃんとあるのだ。
「やばい。これは買いやろ」
我々はCD屋にきていた。
専用の画面の中で、デビューしたてのパンクバンドが歌っている。
「Tokyo…東京?激しい曲やなぁ」
友三も少し気に入ったようだ。
店を出て、近くにある牛丼屋で昼食をとった。
「明日からまた学校やなぁ」
「そやな。今日の夕方までには家に帰らんと」
私は少し気が重かった。
あの長い道のりをまたチャリで帰るのか…と。
「よし。とりあえずおばあちゃんちに戻ろか」
我々の短い夏の旅がもうすぐ終わろうとしていた。
続く