家に戻ると友三のおじいちゃんが玄関先で待っていた。
すぐそばで軽トラがエンジン音を響かせている。
「二人ともこれにチャリ乗せぇや」
私の心配は解消されることとなった。
車なら何とか晩ご飯までには帰れるだろう。
「ありがとうございます。お世話になりました」
家の人々に簡単な挨拶を済ませ、二人で軽トラに乗りこんだ。
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友三の家にはあっけないくらい早く着いた。
車とチャリの違いを考えると当たり前のことではあるが。
「ほな気ぃ付けてな。また遊びに来たらええよ」
おじいちゃんがにっこりと微笑む。
「どうもありがとうございました」
荷台からチャリを降ろし、私は再度挨拶をした。
「じいちゃんも気ぃ付けて帰りや。ほんなら」
友三の髪が夕日で茶色く染まる。
二人で去りゆく軽トラを見送る。
見えなくなるまでいつまでも手を振った。
「ほな、俺も帰るわ。親が待っとるやろうし」
私はチャリに乗りかかる。
「おう。ほなまたな」
そこで二人は別れた。
日没までまだまだ時間がありそうだった。
蝉は依然鳴き続け、空気もじっとりと蒸し暑い。
夏は当分終わらないのだろう。
終わり
【後日談】に続く