『皆、聞こえる?』
バトルシップ内のスピーカーからサリの声が聞こえた。
「聞こえるぞー」
『もうすぐバルア星が見えてくるよ…オレンジ色で楕円型の星。』
サリに言われた通り、数分程でバルア星の姿を確認出来た。
『バルア星のG-662エリアに着陸できる?』
「どうやるんだ?」
発射と運転だけならコウにも出来た。赤いボタンを押して、星を避けながらハンドル操作すればいいだけだ。しかし目的地を設定して着陸出来るだけの技術はコウには無い。
「俺がやるよ!」
後ろの席からテチが移動してきた。何やら難しいボタン操作をするとバトルシップは着陸体勢を整え始めた。
「すげぇなテチ!」
「運転なら5歳の頃からしてるもん、任せて!」
それで良いのか、と思ったがとりあえず文句は言わないでおいた。
バトルシップは無事にバルア星に着陸した。バルア星にはコウの腰くらいの高さのオレンジ色の草が大量に生えている。バルア星がオレンジ色に見えるのはこの草のせいであるようだ。
「文献で読んだ事があるが、この草はミジハと言って、天然水が大量に含まれているらしい…バルア星の貴重な資源だ」
「へぇ…で、そのバルア星の人々はどこだ?」
辺りを見回しても、あるのは鬱蒼と茂るミジハばかりで、人影はまったく見当たらない。
「ねぇ!ここに何かあるよ!」
背の低いテチが、地面に四角い区切りがあるのを発見した。よく見ると取っ手らしき物もある。テシが引っ張って開けると、そこには地下への階段があった。
「…行くぞ」
階段を下りていくと、すぐに扉に突き当たった。ゆっくりと開けてみると…。
「きゃああ!!」
「敵かっ!」
中にいたのは、バルア星の人々であった。肌の色が緑であること以外は地球人と大して変わらない。
「敵じゃねぇよ!お前らを助けに来たんだ!」
コウ達はこれまでの事を説明した。
「そうだったのですか…ご無礼をいたしました」
「で…その液は今どこに?」
「バルア星の中心都市に…。今ちょうど根を張った段階です。近寄るのも恐ろしく、こうして地下シェルターに隠れているのです」
深緑色の肌の老人が涙ながらに話す。つられて他の人々もすすり泣き始めた。
「おれはあいつより強いぞ!」
一人の子供が叫んだ。
「どーゆーこと?」
テチが聞く。
「この前、あいつにミジハを投げてやったんだ。でもあいつ攻撃して来なかったぜ!」