その場には煙が中を舞い、その中からは竜が現れた。
「終わったか・・・」
秀は呟いた。そして、煙の中からは倒れた龍華の姿が目に映った。
「詰まんなーい」
まどかはムッとした顔をして言った。すると、気を失っていた藻が目を覚ました。
「龍華・・・?」
藻は倒れている龍華を見た。龍華の体からは血が流れている。
「龍・・・」
名前を呼ぼうとした時、藻の背中が急に重く感じた。
「動かないでくださいね。動いたらつぶしますよ」
まどかの声だった。まどかは重力で藻の体を動かなくさせているらしい。
「うっ・・・」
龍華の声がした。その小さい声は秀の耳に届いていたらしい。
「まだ息があったのか・・・」
そぅ言うと竜はギロッと龍華を睨んだ。
「畜生・・・」
龍華は言った。その声は誰にも聞こえないくらいの小さな声だった。
戦えねぇよ・・・
仲間だった奴らと戦えるかよ・・・
龍華は手を強く握った。すると、頭の中で聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『負けないで。龍華さん・・・』
『アンタのそんな姿見たくねぇよ』
『私達も力をかしますから・・・』
「止めだ!」
秀は言った。竜は白く尖ったつめを龍華の方に向けて襲い掛かった。
「龍華っ!!」