空は快晴、太陽の位置は1番真上に差し掛かる。
季節は春、緑や華々が広がる山と平地。
太陽は、帝国軍撃退のためすでに要塞化したアンクレット城を照り付けていた。
いくつものの城の砲台が黒く光りに反射した。
そして、2階の外の中庭には弓兵部隊が大勢構えており、見晴台からは魔術士部隊。
城の周りは、重歩兵が囲んでいた。
空からの攻めも、陸からの攻めも万全の体制であった。
2階中庭から攻めくる、帝国軍を眺めている男がいた。
浅黒い肌に全身漆黒のフルメイル、厳つい顔に口髭を携えたジーク団長だった。
ジーク:「帝国軍め、これで最後よ…世の野望を阻止する邪魔者がいなくなるわ」
不気味に笑うジーク。
兵士:「ジーク団長閣下に伝達!!」
兵士が慌ててやってきた。ジーク:「なんだ?騒々しいぞ。」
兵士:「はっ!!申し訳ありません!」
ジーク:「どうした?」
兵士:「塔の守護者、連隊長の皆様がお見えになりました。」
ジーク:「ほう…守護者達が来たか!」
アンクレット城の上空、金髪の少年は竜の背に乗り、空を駆け巡る。
レグナ:「久しいな、小僧」
バサッと翼を広げ、高度を低する。ちょうど、空から肉眼で人がはっきり見える高さまでに。
アイン:「久しぶりだな、レグナ」
竜は鼻で笑い、羽ばたく。
レグナ:「小僧、お前を背に乗せて飛ぶのなんか、何回目になるのであろうな?」
顔に叩きつけてくる風に耐えられず、アインはゴーグルをかけた。
アイン:「数えきれないよ、レグナ。僕はアンタの背中で育ったんだ、アンタの翼に守られてきた。」
およそ、全長は10?前後はあるだろう。山みたいな体つきで全身を覆う、蒼い鱗は鋭い輝きを放っていた。
レグナ:「そうだ。ワシがいる限り小僧、おぬしの歩みは止まらぬ」
普通の人間から見れば、恐ろしいドラゴンだが…
アインにとって、レグナは「父」の存在なのだ。
アイン:「さぁ!レグナ。話は終いだ。僕は敵の数を減らさなければいけない。敵陣まで運んでってくれ。」
レグナ:「承知した。しっかり捕まっとれ小僧。落ちて拾いいくのは面倒だからな」
翼を羽ばたき、猛スピードで空を飛んだ。
続。