もはや噂は事件へと昇華していた。
4人の行方不明により、いよいよ調査隊が動き出す。
その調査隊出動の前に、会議室で対策が講じられた。
「これが1988年当時の、XX記念病院の見取り図です」
「A班はこちら側からこのように迂回してください。B班は―――」
「なお、調査は極秘に進められますのでくれぐれも地域住民に―――」
「それではお願いします」
廃病院に入っていった者たちは、例外なく行方をくらますという事実。
内部で何かが起こっているに違いなかった。
殺人か、あるいは何らかの事故か―――\r
日付が変わろうとする時刻。
調査隊を乗せたバスが山間の廃病院前に到着する。
「それでは気をつけて参りましょう」
調査隊が各班に散らばり、廃墟の中へと入っていく。
調査隊が廃病院に潜入し、30分が経過した。
隊員の叫び声はおろか、物音すらも聞こえてこない。
空気中の無数の粒子がこすれ合う音―――すなわち静寂だけがそこに響いている。
月はただ、明々と地表を照らしていた。
続く