ブラックは泣き疲れ泣き止んだ…。目の前に横たわっている牙は、しばらくすると起き上がってきそうなのに死んでいる…ブラックは牙の遺体を背中に背負うと月光の照らす中ブラックと牙の住処だった洞穴に向かった
向かう中ブラックは悔いていた…牙の願い通りに街に行かせてやれば良かった…と。寂しそうな背中牙に見せられた事位で、牙は街に行けば死ぬんだと勝手に考えて牙を遣ってしまった…馬鹿だ俺は。牙の幸せを祈ってやれば良かったのに…恋をさせてやれば良かったのに…出来る事ならアイツを牙をもう一度生き返らせたい…神様なんてもんがいんなら…牙を助けてくれよ…俺の命やるからよ
その頃牙はあの世…もう一つの世界でさ迷っていた…そしてそこで人狼仲間だった者達に会ったのだ。仲間達は優しく牙を見ている…そしてそのうちの一人(楼孥)が口を開いた「久しぶりだな牙…まさかこんな所で会おうとは思っちゃいなかったがな…見てたぜブラックに遣られる所…」牙は言った
「お久しぶりですね楼孥さん。皆さん…確かに俺はブラックに遣られました。笑って頂いてもかまいません…俺のわがままでこういう結果を招いたんですブラックは悪くないんです。」
楼孥は驚いた様に言った
「おいおい誰もブラックが悪いなんちゃ言ってないぜ牙。ブラックは良い奴だ…まぁ確かに気は荒いし喧嘩っぱやいがな(笑)知らないだろうがブラックは俺達が街に行くと言った時お前と同じように止めてきたぜ‘行かせない’ってな…中にはブラックと闘った者もいるぜ。それでも俺達は街に行ったんだ…ブラックが止めんのも聞かずにな…でその結果これょ(笑)人狼だからって理由だけで殺されちまった(笑)ブラックはそれを知っていたからお前を止めたんだ牙」牙は驚きを隠せなかった。ブラックが止める理由を知って涙が止まらなかった…ブラックは仲間が街に行くのを止めた…だけど行ってしまった仲間が殺された事に一番のショックを受けただろう悲しかっただろう…だからこそ俺に街に行くなと言ったんだろう必死に…俺は何にも知らなかった…仲間の辛い死さえ知らなかった…ブラックが抱えていた仲間の死さえ…辛かったんだろうブラックは…なのに俺はっ……馬鹿だったブラックに殺されて良かったよ…
ブラックは洞穴に辿りついていたが呆然と立ちすくんでいた。目の前には白髪の背が高い杖を持った御爺さん…