10分後、22:30阿部と今江は現場に到着した。すでに数台のパトカーが来ており捜査が始まっていた。
阿部「今江さん…俺、死体見るの始めてなんですけど…」
今江「そうか。まぁ確かに最初だから怖いと思うが慣れるしかない。」
2人はパトカーを降りて死体のもとへ向かった。
今江「決して目を逸らすなよ。捜査にならないからな。」
阿部「はい…」
そこには生々しい死体が残されていた。
今江「銃でやられたのか。こっちは眉間に一発、もう一人は足に一発、胸に二発の計三発…」
びびる阿部をよそ目に死体に臆することなく阿部はメモを取っている。さすがに阿部も何もしない訳にはいかないので近くにいた同期の水本貴一に話しかけた。
阿部「この死体。青山さんと尾藤さんだよな…」
水本「あぁ、そうだ。頭を撃たれた方が青山さん、足と胸を撃たれたのが尾藤さんだ…畜生め…あと被疑者はパトカーを奪って逃走したそうだ。」
阿部「そうか…しかし銃でしかも警察相手に殺るなんて犯人は一体どんな奴なんだ?それに動機は一体?今江さんはどう思いますか?」
今江「さあな。何しろ俺も30年刑事をやってきてこんな事件は始めてだ。任務で殉職することならあるが警察がこんなに一方的にやられるのは始めてだ。急所を正確に捕えてるって事は腕もあるていどあるということが分かる。銃も手に入る。取りあえず。一般人でないことは明らかだ 。
23:40JR京葉線の海浜幕張駅のホームで男は電話をしている。
男「任務は果たしましたよ。雑魚なんで400万でいいです。それよりそちらの財布は大丈夫なんですか契約している奴は61人もいるのに。報酬代でパーになったりしませんか?」
謎の男「私の財力を舐めるな。そんなもの端金に過ぎん。それより次も頼むぞ。」
男「分かってますよ。奴等に復讐するのが俺の仕事ですから。」
謎の男「これは制裁だ。それを忘れるなよ。」
男は電話を切り電車に乗った次の目的地はこの長く暗い線路の向こうだ。この事件の様に。