優魔(ユウマ)は麻里を一瞥すると一瞬で姿を消した。瞬きする暇もない程の疾さだった。
「消えた…」 麻里はぽつりと呟いた。
優魔が姿を消してから麻里は清子に色々と聞いた。優魔のこと、この世界のこと、楓と清子のこと、そしてなぜ自分が此処にいるのか……
清子は麻里の質問に対して順を追って説明すると言った。但し条件付きでだ…
「どんな…条件?」 麻里は不安な表情で聞いた。
「簡単な事よ。今すぐ現実の世界にいる孝弘君と浩君に話し掛けてほしいの。「今座っているベンチの前にある木をジッと見てほしい」てね」
「話し掛けるってそんなこと出来るの?」