この日那智は
夏休み中で本来ならば
休みなのだが
補習があったため
学校へと向かっていた。
でも田舎出身で
東京へはつい最近引越して来たばかり。
だからいつも
そこら中にある高層ビルに目を奪われながら
歩いていた。
そんなある日…
「どんっ!」
運命を感じる位
少女マンガの様な
ぶつかり方をした。
「すいませんっ!大丈夫ですか?!」
とっさに謝る那智。
「……大丈夫。」
冷たい態度の相手。
しかも…
目に少しクマ。
見るからに暑い上着。
その上着で隠れてるけど
病院の患者用の服。
…いかにも怪しい。
顔はまあまあだけどね。
気になった那智は
何となく再確認。
「あの…本当に大丈夫ですか?」
「……大丈夫。」
那智の問いに
やっぱり冷たい態度。
(さっきと答え方一緒じゃん…)
那智は心の中で呟いた。
すると逃げるかの様に
すっと立ち上がり
歩き始める怪しい人物。
「えっあの…!」
引き止めようと那智。
しかし
無視して行ってしまった…
那智は何だか
少しの怒りと
少しの不安で
変な気持ちになった。
「何だよお。ぶうー…」
そして10分後。
学校へ着いた。
すると
職員室は先生と生徒数名で盛り上がっていた。
「おはよおー♪
なんかあったのお?」
那智はその場に居た友達リサに聞いた。
「おっ那智いー!
おっはよおー♪
何かねえー
R病院で医療ミスがあったらしいさあー!」
「へえー!
…でも別にみんなが
そんな大騒ぎする程の
ことじゃなくない?」
「まだ続きが
あるんだって!」
そしてリサは続ける。
※03話へ続く