タイセツナモノ

ユラ  2006-10-29投稿
閲覧数[454] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「・・・・じゃあ、この古文の訳よんで。えー、清野。」
「清野くん。清野くん。起きて。」
・・・・目を開けようとしたその時、ガシュッという音とともに、頭に痛烈な痛みが走った。
「いって・・・!」
白い粉があたりに散らばっている。チョークだ。沢谷が投げたんだ。さすが元弓道部。
命中率はすごい。                               
 ざわざわと声がきこえる。
「清野!どんだけ寝ればいいんだ!ろうか立ってろ!」
どっと笑いが聞こえる。ふと、たけじを見ると、少しわらっていた。ちょっと切なくなった。
 みんなの席の後ろを通って、ろうかへ行った。それにしても眠い。実はろうかにいたほうが、グラウンドがみえて良かった。
「いいな・・・。」
――みきぃ!1位とったー!!――
「おっ、ゆま。」
――また、廊下にたってるなぁ。寝るなってたけちゃんもいってたでしょ。――
ゆまはたけじの事を『たけちゃん』と呼んでいる。理由はわからないけど、昔っからそうだ。昔といってもほんの2年前だけど。
――みき。また無理してるんじゃないの?生魂を無理して使えば、みきがあの世行きになっちゃうんだからさぁ。――
生魂・・・。それは僕・・・たぶんだけど、僕しかできないことだと思う。僕は自分の生きている魂・・・いってみれば命なのだけれど、だれかに与えることができる。と、いってももちろん生きている人なんかに与えることはできない。ゆまやさらめみたいにもうほんとはいない人に使うことができる。正確にはその力を与えることができるのは、1回だけ。
力をあたえるかわりに天にのぼるのが約束になっている。
――俺は例外だけどね。――
そう。ゆまはなぜか何回使っても、天にのぼれない。本人も理由はよくわかんないらしい。
――生魂を何回も使うのなんてルール違反よ。――
「さらめ。いたんだ。」
――今きたのよ。表彰始まっちゃうよ、ゆま。――
ちょっと怒った口調でさらめは言った。
――えぇ。もうかよぉ。めんどくさいなぁ。――
「いかなきゃ、またカンちゃんに賞状とられちゃうぞ。」
――今年はカンにやっと勝ったんだ。わたさなぃかんな。じゃ、いってくるかぁ――
ゆまはそういって壁をぬけ、運動場のほうにいった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ユラ 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ