ドアの外からは彼女の泣きじゃくる声がする…
「カズーいきなり別れるだなんて勝手だよ…どうして??中に女いるんでしょ??あたしと別れてその人と…」
「朝っぱらから近所迷惑だろ。人の迷惑も考えろよ。とにかく大声出すのやめてくれないか。」
外は急に静かになった。気になったあたしはドアの覗き穴に目をやろうとしたその時、
カチャ。ドアが開く。
「人ん家まで付けて来るなんて、全く困るよなぁ…ゆきさんごめんね。」
「…イヤ、あたしは別に…その、…彼女は?」
「あぁ。とりあえず帰ったよ。」
「へぇ…あっそうなの。」
それから部屋にはなんとも言えない重苦しい空気が溢れていた。
あたしもカズヒロもひとつも声を発しなかった。
大して興味もない朝のニュースが淡々と流れていた。
「ゆき…さん…
びっくりさせてごめんな。
オレ今のゆき見てるとほっとけないんだよ。スキとかそーゆうキモチなのかなんなのか今はまだよく分かんないんだけど…
オレ、ゆきの側にいてもいいかなぁ?」
「カズヒロ……
……ありがとう。うれしいよ。」
溢れる涙でカズヒロの顔がよく見えなかった。
あたしを優しく抱き締めるカズヒロ。
…カズヒロの元カノごめんね。
たくさんの想いの詰まった涙は止める事ができなかった。