(友義………。)
この時からだろう。
那智が
友義のことを
気にし始めたのは。
その後…
那智は母に
医療ミスがあったことを
話した。
………………
静かに黙ったあと
母は言った。
「捜しそう。」
「…うん。」
小さく頷き
楽な格好に着替えると
那智は
「パンっ!!」
両方の頬を
平手で叩き
気合いを入れた。
ちょっと
古臭いけどね。
…1時間後。
人気のある所には
居ないだろうと
人気のない道り
お墓
ゴミ捨て場
こんな所を
捜してみたけど
…何処にも居ない。
(何処よおー…。)
那智は
途方に暮れていた。
そしてまた…
あの時の言葉を
思い出していた。
『中川友義…
18歳…
R病院…
初恋…』
(…ん?!)
「っそおか!」
何かを
思い立った那智は
すぐさま
近くの電話ボックスに
20円を入れ
母の携帯に
電話をした。
那智は携帯を
持ってないが
母は持ってるのだ。
…プルルルルルルルッ♪
ガチャ
「はい。
もしもし」
「あっ那智だけど!」
「何みつかったの?!」
那智は
自分の思ったことを
話した。
「…………」
すると
母は急に黙った。
「とりあえず
家に
帰って来なさい。」
プッ
ツーツー…
母は
意味深に
その言葉を吐いて
一方的に
電話を切った…。
※09話へ続く