守りたい。
こんなにも君のことを想っているのに、僕は君を守ってやれない。
この世に天使がいるならば、君を光で包んでほしい。
この世に悪魔がいるならば、君に囁かないでほしい。
誰でもいい。
誰かが君を守ってくれることを心から願う。
君の魂はひどく可憐で儚く美しい。
誰にも汚されてはいけない。
誰かが守らなくてはならない。
君を守るためならば、僕はどんなことだってしよう。
命をなげうってでも、君を守りたい。
でもそれはもう出来なくなった。
だって僕はもう死んでいるんだから。
君にしてあげられること。
それは、君の近くに存在すること。
けれど息がかかるほど近くにいても、君は僕に気づかない。
君と笑い、泣き、怒り、いくつもの感情をともにしても、君には気づいてもらえない。
運命ってのは残酷だ。
人に何の予告もせずに突然やってきて、断りもなく去っていく。
僕は、僕と君を離別させた運命を憎む。
惜しむ間もなく与えられた悲しみは日に日にふくれあがり、僕と君の心をずたずたにした。
今日も僕は世界中の一番近くで君を見守る。
運命の悪戯で君がこれ以上傷つかないように。
「……おい」