「メールの内容はよくわかんないけど…なんか賭けみたいなのしてたんでしょ??☆」
「え……」
メールの内容を思い出してみる。
『頑張ったらジュースおごってあげる』
うろ覚えだが、確かにこんな一文があった。
「そんな約束…したかも」
「でしょ??
でも直接渡すの恥ずかしいからって私が頼まれたんだッ♪」
「本気だったのか…」
「薫先輩、結構素直だからねぇ☆」
麻美は少し笑いながら言った。
確かに、あの人はなんかすぐ騙されそうな感じだと思った。
言われたらなんでも信じそうな。
「あ、私そろそろ帰らなきゃ!!
健太、豪くん、じゃあね☆」
「あぁ、またな」
「あ、麻美ちゃん、ジュースありがと!!」
豪も慌てて手を振る。
いつもの豪らしくなくて、少し面白かった。
麻美もそんな豪を見て、遠くから嬉しそうにしていた。
(……はぁ〜………)
麻美が帰ったあと、俺は改めて手のひらの缶ジュースをみつめた。
別に嫌だったわけじゃない。
ただ……。
ごめん先輩。
あの時、俺はずっと中島を見てた。
中島に見てほしくて頑張った。
その時先輩のことは、頭の隅にしかなかったんだ…。
「健太、何ぼーってしてんの??」
豪がそんな俺の様子を見て話しかけてきた。
「あっ、いや別に……」
「せっかく麻美ちゃんがくれたんだから、ぬるくならないうちに飲もうぜ」
「あぁ、そうだな」
そう言われて、豪と一緒にジュースを開けた。
味はなんか…ほとんどわからなかった。
家に帰った俺は、ずっと今日のことを思い出していた。
試合のこと。
中島のこと。
豪と麻美のこと。
そして先輩のこと。
〜♪
(うっわ!!びびった〜!!)
ぼーっとしていたから、突然鳴った着メロにとても驚いてしまった。
サブディスプレイを見ると、メールが届いていた。
開いて見ると、先輩からだった。