花の都と歌われるこの街で、私は幾つかの名所を見て回った
エッフェル塔、ルーブル美術館、凱旋門……
どれもこれもガイドブックで見るよりもずっと良かった
私が訪れた時には、春だったこともあり、
公園には赤、白、黄色の花が咲き乱れていた
それらを絶えずに舞っている噴水の水しぶきが、潤す
酒場で酒を飲んでいたら、誰かがこう言っていた
「今では安心してこの様な景色を見ることができるが、
あの革命の真っ只中で育った曽祖父さんは、
そんな事、夢のまた夢だって、よく言っていたよ」
あぁ、確か世界史の授業で習ったっけ
ずいぶん沢山の人の血が流れたって聞いた
彼らはそれを聞いて何を思う
真紅の血の上に芽生えた自由、平等、博愛
それを失いたくないという気持ちは、
他国の者よりもずっと強いのかもしれないな、多分
私はマスターに「ウォッカ」を一杯注文した
アルコール度数50%
ちょっと頭がくらっとした