「坊や!何て危ない事を!」
子供の母親が子供の頭を叩いた。子供は不機嫌そうに顔をしかめると、鼻を大きくすすってそっぽを向いた。
『皆、今の話は聞いた?』
ちょうどサリからの無線連絡が入った。
「サリ、どーゆう事だ?」
『そうだね…とりあえず液のいる所まで行きなさい』
コウ達は先程の老人に道案内を頼んだ。老人は尻込みしたが、近辺までならという条件で承諾した。
一時間ほど歩いて、液のいる中心都市に着いた。バルア星はあまり文明が発達しておらず、中心都市にもミジハの加工工場と、ミジハの水分を利用した小さな発電所が建っているだけで、どこか物悲しい雰囲気だ。
「アレです」
老人は一点を指差すとそそくさと帰って行った。老人が指差した所には、全長5メートル程の新芽型の液がそびえ立っていた。薄紫色で透明なそれは生き物のように小さくうごめいていた。
『三人共移動したね』
「サリ殿。この後どうすれば…?それにさっきの子供が言っていた事は…」
『液がミジハに反応しなかったのは、ミジハの主成分が水だからだよ。液の主成分も水に近いからね…同じ成分の物を投げられても有害な攻撃とはみなさなかったんだ』
「ミジハには攻撃しない…か。じゃあサリ、一体どうやって倒せば良いんだよ?」
『それはね……』
突如、鈍い雑音が入り混じったかと思うと、サリからの無線が途絶えた。
「ちょっ…もしもーし!サリ!肝心なとこで切れるなぁぁ!!」
コウの叫び声だけが空しく響く。
「兄ちゃん、どうしよう」
「うーむ…」
「なぁテシ!何か液に関する文献とか読んでねぇの?!」
「液に関するものはあまり…」
「マジかよぉ〜この役立たず!」
「なっ…お前に言われたくないわ!!第一、誰に向かって口をきいて…」
「ケンカはやめてよ〜!」
テチが二人を抑えた。
「サリからの連絡が途絶えちゃったからには仕方ないよ…とにかく、僕達でどうやったら液を倒せるか考えよ!!」